匂いによる母子間交流を活用した安全・安心の創造

目的

母親の羊水に包まれた赤ちゃんと赤ちゃんを抱いた母親の安全・安心感を日常に!母子間で作用する匂いの効果に注目、化学、生理学、内分泌 学、心理学、周産期医療の面から追究し、人々の心身の健康の回復や増進に役立てる。

研究概要

私たちは、出産間もない母子が相互交流に用いている「匂い」の効用に着目し、これを再現した香料を様々に使って、周産期母子の心身の問題解決を念頭に、そのような「匂い」の未知の価値を見出す。

私たちは既に、新生児に胎内での安全・安心の記憶を喚起する「母親の羊水の匂い」、また、母親にポジティブなケア情動を引き起こす「新生児の頭の匂い」の化学組成の同定を行い、世界で初めて調香品を作成した。本研究開発事 業では、「母親の羊水の匂い」と「新生児の頭の匂い」の作用を多面的に 追究する一方、調香品を用いてその作用を新生児や母親にフィードバックすることで、周産期における母子の不安やストレスの解消を目指す。

さらに、その作用が母子に限ることなく、より広範に働くのであれば、あらゆる世代、あらゆる働き手にもポジティブな癒しの効果をもたらし、生きがい働きがいを高めることが期待できる。

領域内の位置づけ

本プロジェクトは、2021年のJST未来社会創造事業「世界一の安全・安心社会の実現」領域の探索加速型研究に採択された。領域の重点課題は「心理状態の客観的把握とフィードバック手法の確立による生きがい・働きがいのある社会の実現」であり、私たちの研究・開発は、周産期における安全・安心の社会実現を念頭に、匂いを活用して母子間交流を促進するものとして位置づけられる。